サッカーを通じて観戦力と分析力を上げていくブログ

基本的にはサッカー×データに関して試してみたことをまとめています。最近はもっぱらPythonを使った可視化中心。時々自分の好きなガジェットも。

【18/19 PL Liverpool vs Man City】最強のカウンター!前線へのロングフィードを見てみる

今回は「戦術リストランテ V」から「クロップ・リバプールピーキーな魅力」を参考に、リヴァプールのカウンターを見てみようと思います。内容としては、「両サイドの速さを活かしたカウンターは最強。でも遅攻はパターンが決められておらずお粗末」「ゲーゲンプレッシングは、ドルトムント時代よりバランスが良い」とざっくりこんな感じで書かれています。

ちなみに戦術リストランテシリーズは、雑誌footballistaの連載を書籍化したもので、内容自体は2018年1月12日発売したfootballistaに記載されていたものだそうです。すなわちコウチーニョがまだリヴァプールにいた時代で、そこから今では戦術も変わっている可能性があるので悪しからず。

 

欧州屈指のカウンター

「戦術リストランテ V」で解説されているリヴァプールのカウンターに関してまとめると以下のようになります。

  1. 中盤にボールを奪える選手を3人、両サイドに快速のサラーとマネを配置
  2. ボールを奪ったら、すぐさま両サイドのスペースを狙う
  3. 両サイドのスピードとキープ力を活かしてカウンター
  4. ボールが流れても、ゲーゲンプレッシングで優位性を維持

これまではサラー、マネ、フィルミーノのカウンターがリヴァプールの圧倒的優位性だと思っていましたが、たとえその3人がボールを失ってもすぐにボールを奪える体制(ゲーゲンプレッシング、中盤3枚のデュエルの強さ)もカウンターをより強力にする重要な要素なんだと気づかされました。

ということで、今回はプレミアリーグ首位攻防戦となったマンチェスター・シティ戦をこうした観点から振り返って見たいと思います。

 

リヴァプールロングフィードを振り返る

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結論、この試合でリヴァプールがカウンターを発動するシーンはほとんどなかったような印象です。そこでリヴァプールが自陣から前線へ送ったフィードを全て振り返って見ます。

 0' ヘンダーソンからサラーへのフィード。若干大きくなったボールをメンディがクリアし、そのこぼれ球をミルナーが奪取。
その後は、サラーへとグラウンダーのクロスが送られるも、サラーはラポルテを振り切れずボールロスト。

1' ファンダイクからマネへ。ボールはマネの頭上を超え、シティボールに。

4' 左サイドに開いたミルナーからフィルミーのへのフィード。裏へ抜けたボールを巡ってラポルテとチェイスになるも、最後は飛び出してきたエデルソンにクリアされる。

8' ファンダイクから高めの位置で開いていたロバートソンへ。浮き玉でサイドバックを交わし、そのままペナルティエリアへ侵入するもクロスはブロックされる。

16' ヘンダーソンがセンターの位置からセンターのサラーへ。サラーはオフサイドなく抜け出すも、ボールはキーパーにキャッチされる。

21' ロブレンからフィルミーノ目掛けたフィード。ラポルテに跳ね返されるも、こぼれ球をワイナルドゥム、サラーと繋ぎそのままボールを保持する。

22' ミルナーからセンター付近へパスするも、DFライン上空を超えてゴールラインを割る。

23' ヘンダーソンからフィルミーノへ右足アウトサイドでのロングパス。フィルミーノはストーンズと競るもこぼれ球はシティボールに。

29' 後方でのボール回しが若干ばたついた流れから、ロバートソンが前方のスペースへ。フィルミーノが追いかけるもエデルソンがキャッチする。

34' ファンダイクから右サイド上がってきたジョーゴメスへのロングパス。ゴメスはワンタッチでスターリングを抜こうとするも失敗。

45' ロブレンからサラーへ。サラーは中央からストーンズを引っ張り出しながらボールを受け、キープ。背負いながら縦に出したフィルミーノへのパスは合わず。

47' ファンダイクからジョーゴメスめがけてパスを出すも大きくなりゴールラインを割る

50' ヘンダーソンが右サイド高い位置にいたゴメス目掛けてフィード。ゴメスはフリーで受け、そのままクロスを上げるも跳ね返される。

61' 右サイドからワイナルドゥムが、センターのマネへフィード。DF2人がついており、クリアされる。

68' シティのコーナーからアリソンがロバートソンへ。そのロバートソンがサラーの裏へロングフィード。サラーがバウンド際をうまくトラップし、シュートまで持ち込む。

独自の調査ではありますが、前半に11本、後半4本のロングフィードがありました。前半に比べて後半に激減しているのはシティが対策を講じたのでしょうか、はたまたクロップの指示があったのでしょうか。

この中でカウンターと呼べるものは68分のシーン1回だけだった気がします。その他はビルドアップの流れから、ロングフィードを使用していました。これは、アリソンとファンダイクが加入したことで、後方から組み立てられるようになった結果なのかなと思いました。後方へのパス回しによって相手の前線が釣り出され、結果相手のDFラインも押し上げられ、マネやサラーが使うスペースが出来るようになったのではないでしょうか。こうした変化が起きているいるのかも、今度データを使って検証してみようかと思います。

0分や21分のシーンは「戦術リストランテ V」で解説されている通りの、リヴァプール の狙いが功を奏したシーンだったと思います。どちらもフィードのこぼれ球を中盤の選手がデュエルを制して奪取。その後の攻撃へと繋げていました。

 

前回(利き足と配置の関係性)の復習

前回の復習がてら、今回も利き足とクロスについて見てます。シティのサイドはリヴァプールと同じで、サイドバックが利き足と同じサイド、ウィング(サイドMF)が利き足と逆サイドに選手を配置していました。

クロスの数は、リヴァプールがゴメス6回、ロバートソン2回、サラー1回、マネ2回となっています。一方シティは、マフレズ0回、スターリング1回、ウォーカー1回、メンディ3回。やはり利き足サイドに配置されたサイドバックのクロスが一応は多いものの、試合を観ているとどちらのチームもクロスにそこまで重きを置いておらず、クロスを上げられるフリーのシーンでも味方へのショートパスを選択するシーンが何度か見受けられました。どちらのチームにとってもクロスは確率の低い攻め手と認識されているのかも知れません。

今回は、リヴァプールのカウンターに注目して見ました。しかし、シティが警戒・対策していたのかカウンターを発動させる機会はほとんどありませんでした。心なしかシティのサイドバックの攻撃参加も、普段より少なかったように感じます。

インターナショナルウィークを挟んで次節リヴァプールハダースフィールドと対戦します。ここ4試合で若干失速した感がありましたが、ここから11節のアーセナル戦までは取りこぼせません。次節に向けてまずは怪我無く合流できることを祈って待ちたいと思います。

 

戦術や分析に関して、こういう見方もあるよ、こうして見た方がいいよ、などご意見等ありましたら、コメントで教えていただけると幸いです。ぜひよろしくお願いいたします!