サッカーを通じて観戦力と分析力を上げていくブログ

基本的にはサッカー×データに関して試してみたことをまとめています。最近はもっぱらPythonを使った可視化中心。時々自分の好きなガジェットも。

【2018 Friendly Japan vs Panama】日本代表の「ミクロの崩し」を見てみる

今回も「戦術リストランテ V」を参考に試合を見てみたいと思います。今回参考にするのは「U-20日本代表が提示した「ミクロの崩し」」について。U-20日本代表(2017年)の話ではありますが、U-20日本代表の攻撃が肯定的に記載されていること、当時堂安律がその中心だったことから、現在のA代表にも通ずる部分があるのではないか?と考え、今回の題材にチョイスしました。

 

 ミクロの崩しとは

「戦術リストランテ V」を読んで解釈してみると、ミクロの崩しとは「相手の狭められたゾーンディフェンスを、コンビネーションプレーで突破するという崩し方」とまとめられそうです。

ミクロの崩しに注目する背景として、近年のトレンドとは違うベクトルを向いていることが挙げられています。近年ではほとんどのクラブが採用しているゾーンディフェンスでは、守備側はそのゾーンを狭めるなどをして、攻撃側のスペースや時間を奪っていきます。(リヴァプールのゲーゲンプレッシングも、「攻撃側の時間を奪う」ことによって守備をしているのだと思われます)

対する攻撃側は、ゾーンが広げるような動きをしたり、1対1に持ち込み個人技で突破したり、ゾーンが狭まる前にすり抜けたりしてチャンスを作っているという構造なのだとか。

狭めらたゾーンに複数の選手が入ってきても、被るだけで普通は無意味。それでも敢えて複数選手のコンビネーションで崩すこと、そこまでの狭さで崩せれば身体の構造上反応不可能なところに、面白さと可能性があると記載されています。

これらを踏まえて、日本代表が「狭いエリアでのコンビネーションをどれだけ狙っていくのか」に注目してパナマ戦を観戦してみました。

 

「ミクロの崩し」で決めた2点目

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ミクロな崩しに期待していたので、特に前線の選手に注目して観ていましたが、前線4人の見慣れないポジショニングが非常に目に止まりました。前線の4人(大迫、原口、伊東、南野)が中央に絞り、3〜4人が相手DFライン間にポジショニングをし相手のゾーンを縮めていました。当然、原口と伊東が両サイドに大きく開いて攻めるシーンもありましたが、サイドが空いている状況でも狭いセンターのスペースを使うシーンが多かった印象です。(リヴァプールの両サイドは基本的にはサイドで張っているので、ビルドアップの段階から前線の選手があそこまで中央のスペースに集まっているのは異様な光景に見えました)

そんな状況の中、2点目のゴールはまさしくミクロの崩しから決まったものでした。南野のシュートのこぼれ球を、伊東が押し込んでのゴールでしたが、その前のプレーにミクロの崩しが出ていたと思います。

<2点目を生んだミクロの崩し>

①原口がボールを受けると、そのまま前を向いてドリブル開始。伊東と南野は、相手の右CB付近にポジショニング。

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②右SBが詰めて来たところで、原口は伊東へパス。この時パスコースは南野と伊東の2人がいたため、相手右CBは1人で2人に意識を向けることになり対応が遅れる。

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③伊東はダイレクトで南野へパスし、キーパーと1対1の状況を作り出した。

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日本代表がミクロの崩しを意図してプレーしていたのかは分かりませんが、前述の通り狭い中央のスペースを使おうとしていたのは確かだと思います。次戦のウルグアイ戦では、中島翔哉や堂安律などより狭いスペースでもプレー出来る選手が見られると思うので、より注目・期待したいと思います。(スアレスを観られないのは残念ですが。。)

 

戦術や分析に関して、こういう見方もあるよ、こうして見た方がいいよ、などご意見等ありましたら、コメントで教えていただけると幸いです。ぜひよろしくお願いいたします!